近年の入札不調について
行政 2026年3月定例議会

近年の入札不調について

公共工事の入札不調が近年増加していることを取り上げ、扶桑町の現状・原因分析から、学校施設の改修対策、スライド条項の運用、今後の対策まで幅広く質問しました。

Background
質問の背景

近年、公共工事の入札不調が全国的な課題となっています。近隣の小牧市でも学校建設の入札不調により事業計画の修正を余儀なくされる事例が発生しています。資材価格の激しい変動や深刻な人手不足、いわゆる「建設業の2024年問題」による労務コストの上昇が、地方自治体の執行体制を直撃しています。

扶桑町においても、適正な予算執行と住民サービスの維持は喫緊の課題です。入札不調による事業の遅れは、教育環境の整備や防災対策の停滞に直結します。そこで、町における入札不調の現状・分析・対策について質問しました。

Section 01
(1)入札不調の現状と分析について

令和5年度および6年度において、入札不調(不落を含む)となった事案は何件あったか。また、以下の点についてお聞きします。

  • 具体的な「入札日」「業務名(工事名)」について、町は不調に至った理由をどう分析しているか。特に予定価格と実勢価格の乖離、あるいは2024年問題による業者側の「受注余力の低下」をどう捉えているか。
  • 最終的な入札結果(再入札や随意契約への移行)はどうなったのか。

令和5年度:不調1件

  • No3 小規模改修工事(その1)|R5年4月21日
    理由:施工条件が合わないとの理由で全社が辞退。
    対応:再度設計を行い、一部業者を入れ替え5月24日に再入札。

令和6年度:不調4件

  • 電気設備保守点検業務(中学校)|R6年5月22日
    理由:予定価格超過・応札金額記載誤り。
    対応:期間を変更し6月20日に再入札。
  • 40周年記念ふそう美術展 会場設営業|R6年6月20日
    理由:予定価格超過・辞退。
    対応:内容・予定価格は変更せず随意契約により契約。
  • ネットワークHUB購入|R6年6月20日
    理由:仕様を満たせない・納期対応不可で全社辞退。
    対応:納期を変更し7月24日に再入札。
  • 給食用エレベーター改修工事|R6年9月26日
    理由:辞退・未参加。
    対応:内容・予定価格は変更せず随意契約により契約。

不調の理由は案件ごとに様々であり、それぞれの案件に対し適切に対応している。なお、本町においては議員が心配されるような経済情勢の影響で入札不調となるようなケースは、現時点では大きな問題とはなっていないと判断している。

Section 02
(2)学校施設等の改修・建設工事への対策について
質問ア|「物価高騰」と「人件費上昇」が発注業務にどのような影響を及ぼしているか、現状の認識は

昨今の社会情勢により、資材価格や人件費が著しく高騰しており、公共工事の円滑な執行への影響が懸念されています。特に学校施設は児童生徒の安全確保や教育環境の維持に直結するため、計画通りの実施が不可欠です。

現在の物価・人件費の高騰が扶桑町の学校関連工事の発注や入札状況にどのような影響を与えていると考えているか。また、予算編成時の想定と実勢価格の乖離による入札不調リスクに対し、どのように対応するか。

工事については、都度変動している単価について事前に最新の単価を反映させて設計が行えるため、金額が上がるとはあっても入札の応札に影響は少ないと考える。

ただし、見積によって積算するような項目のある案件については、予算作成時の基準・内容のままで入札を行うと不調となるケースが発生しうる。現状において、本町では経済情勢の影響を受けやすい大規模な施設改修や大型工事の案件がないため、人件費や物価高の影響は少ないものと思われる。

質問イ|「2024年問題」に対応した適切な工期設定とは

建設業界における「2024年問題」への対応や働き方改革の推進が急務となる中、今後、学校施設等の工事においても無理のない適正な工期を確保することは、施工品質の維持や現場の安全管理の観点から極めて重要です。特に学校工事は、夏休みなどの長期休業期間に工程が集中しやすい傾向があります。

長時間労働の是正や週休2日の確保といった時代の要請に対し、町としてどのように適正な工期を算出・設定していく考えか。また、現場の実態に即した実効性のある取り組みの具体的な方針をお聞きします。

工期については、令和7年度から工期の算定式を採用することにより、適正な工期を設定するように努めている。

質問ウ|スライド条項とは

近年の急激な物価変動は、入札時の予定価格の設定を困難にするだけでなく、契約後の施工業者にとっても経営を圧迫する大きなリスクとなっています。工事の品質確保と健全な受注環境を維持するためには、実勢価格を速やかに反映した予定価格の適正化に加え、不測の事態に応じた適切な価格調整が不可欠です。

扶桑町における「単品スライド条項」および「インフレスライド条項」の具体的な運用方針について、適用条件・変動額の算定基準・愛知県の基準との整合性をお聞きします。

本町においては、単品スライドおよびインフレスライドの対象となる案件が発生した場合は、愛知県で運用されている基準を準用する方針としている。

各スライドの特徴は以下のとおり。

  • 単品スライド条項
    適用条件:対象材料の価格が対象工事費の1%以上変動、かつ工期末まで2ヶ月以上残っている工事。
    変動金額:1%以上変動している材料品目の変動額の合算から、対象工事費の1%を引いた額が増額分。
  • インフレスライド条項
    適用条件:工期末まで2ヶ月以上残っている工事。
    変動金額:変動額から対象工事費の1%を引いた額が増額分。
質問エ|今後の入札不調対策は

昨今の資材高騰や工期設定の難化により、全国的に入札不調が相次いでいます。本町においても、不調が繰り返されれば学校施設の老朽化対策や長寿命化計画に遅れが生じ、児童生徒の教育環境に負の影響を及ぼしかねません。

ダンピングの防止や積算・応札ミスによる失格を防ぐための「最低制限価格」の導入検討状況はいかがでしょうか。また、仕様書における条件設定が実態と乖離しているケースに対し、庁内での発注スキルの向上や周知徹底をどのように図っていくのか、具体的な方策をお聞きします。

工事の入札については、ダンピングや応札誤りを防止するために、令和7年度より最低制限価格を設定するようにしている。

その他の入札については、応札業者の誤りのほかに仕様書等の条件設定によるものが入札不調の原因となっているものが現状では多いため、仕様書の条件設定等について庁舎内向けに周知を図っていく

Comment
片野たいがのまとめ・コメント

扶桑町における公共工事等の入札状況は、令和5年度に1件、令和6年度には4件の不調が発生しており、主な要因は施工条件の不一致・予定価格超過・仕様を満たせないことによる納期対応不可など多岐にわたっていました。

今後、資材価格の激しい変動や「建設業の2024年問題」に伴う労務コストの上昇、業者側の受注余力の低下が、地方自治体の執行体制に深刻な影響を及ぼす可能性があります。学校施設等の改修においては、予算編成時の積算と実勢価格の乖離による入札不調リスクが顕在化しており、事業計画の遅延が懸念される状況です。

不調による随意契約への移行や再入札を最小限に留め、公金の効率的かつ透明性の高い執行を継続していただくようお願いし、この質問を締めくくりました。

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