土木・建築系技術職員の採用について
行政 2026年3月定例議会

土木・建築系技術職員の採用について

深刻化する技術職員不足に対し、採用状況・初任給・試験制度の近隣比較から通年募集・柔軟採用制度の導入、若手育成支援、CM方式の活用まで幅広く質問しました。

Background
質問の背景

インフラの老朽化対策や公共施設の維持管理が重要な課題となる中、適正な入札要件を担う土木・建築系技術職員の確保は喫緊の課題です。

専門人材の奪い合いが激化する中、技術職採用難は事業の質・スピード・職階構成バランスにも直結します。民間企業との人材獲得競争に加え、近隣自治体間での「奪い合い」、採用試験を実施しても応募者ゼロや内定辞退が相次ぐ事態が全国で常態化しています。もはや「従来通りの公務員試験」では太刀打ちできない構造的な担い手不足に対し、町としての戦略を問いました。

Section 01
(1)技術職員の採用・定着における現状と危機意識について
質問ア|過去5年間の採用・離職状況

令和2年から6年までの募集人員・応募者数・採用人数について、また2次募集をおこなっていればその状況について、さらに5年間で離職者がいればその人数と理由をお聞きします。

現在、技術職員については、土木技師9名・建築技師4名が在籍しています。過去5年間の採用状況は以下のとおりです。

  • 令和2年度:試験2回実施
    募集人員2名/応募者数1名/採用人数なし
  • 令和3年度:試験4回実施
    募集人員3名/応募者数合計5名/採用人数2名
  • 令和4年度:試験1回実施
    募集人員若干名/応募者数2名/採用人数なし
  • 令和5年度:試験1回実施
    一般事務職と合わせて募集(4名)/技師の応募者数4名/採用人数1名
  • 令和6年度:試験2回実施
    募集人員若干名/応募者数1名/採用人数なし

離職状況:令和3年度に定年退職1名、令和6年度に自己都合退職1名。

質問イ|近隣市町との初任給比較

初任給の高さは、就職活動生にとって「自らの技術や可能性が正当に評価されている」という安心感と信頼に直結し、就職先選定理由の一つとなります。近隣市町の技術職採用者の初任給についてお聞きします。

令和7年4月1日現在(人事院勧告による条例改正前)の当町の初任給は、大学卒・技術職で1級25号給 220,000円です。

  • 1級25号給(220,000円)を適用
    扶桑町を含む1団体
  • 1級29号給(225,600円)を適用
    近隣3団体
質問ウ|採用試験・年齢要件の近隣比較

令和6年4月から建設業にも時間外労働の上限規制が適用され、民間企業では初任給の大幅引き上げが進んでいます。また採用試験も「公務員独特の準備が必要な試験」から「民間併願がしやすい適性検査型」へと変化しています。SPI試験の導入や経験者採用の年齢要件など、近隣市町との比較についてお聞きします。

当町の技師職採用試験は、第1次試験(性格特性検査・事務適性検査)と第2次試験(面接)で構成し、年齢要件は35歳上限としています。

  • SPI3・適性検査・面接
    近隣3団体が実施(うち作文・集団討論を追加している団体あり)
  • 面接のみ
    近隣1団体
  • 年齢要件
    団体・年度により異なり、上限なしの場合もあり。通年募集はどの団体も実施していない。
質問エ|通年募集・柔軟な採用制度への転換

従来の年一回の画一的な試験では、優秀な人材は他所へ流れてしまいます。民間の転職時期にも即応できる「通年募集」の採用や、実務実績で評価する選考などへの転換が必要ではないでしょうか。近年の募集・採用状況からの危機意識と、経験者採用の通年募集、技術職に特化した初任給調整手当の検討など、柔軟な採用制度への見直しはできないかお聞きします。

技師職の安定的な人材確保は、公共施設の整備・インフラ維持管理・防災対策など、町民生活を支えるうえで極めて重要であり、採用環境の変化に対応していく必要があると考えております。

当町においては、専門性や人物評価をより重視する点から面接を中心とした選考を行うなど、柔軟に対応してきたところです。今後においては、通年募集の実施、試験内容のさらなる柔軟化、大学・高校への訪問説明など、他自治体の取組事例も参考にしながら研究・検討を進めてまいります。

Section 02
(2)若手技術職員の育成支援と職場環境について
質問|育成支援と「選ばれ、育つ職場」への変革

技術職の確保が困難な今、採用以上に重要なのは「この町で技術者として成長できる」という実感を職員に持ってもらい、離職を防ぐことだと思います。

若手職員に対し、愛知県や近隣自治体への研修派遣を通じた広域的な知見の習得や、施工管理技士等の国家資格取得に向けた受験料・講習費の公費助成など、具体的な成長支援の必要性を感じています。「選ばれ、育つ職場」への変革に向けた、町独自の取り組みについてお聞きします。

技術職員の成長を促進するためには、採用後の人材育成と専門性を高める環境整備の両面が重要であると考えております。

具体的には、先輩職員による指導体制の充実に加え、全国建設研修センターなどの外部研修への派遣を通じて、技師としての専門性の向上を図ってまいります。あわせて、若手職員にも段階的に業務を任せ、実務経験を通じた成長を促すことで、専門性の向上とやりがいの創出を図り、将来にわたり町のインフラを支える人材の育成に取り組んでまいります。

Section 03
(3)コンストラクション・マネジメント(CM)方式の導入検討
質問|発注者機能の補完としてのCM方式活用

技術職員のさらなる負担軽減策として、国土交通省が推奨する「CM(コンストラクション・マネジメント)方式」の活用についてお聞きします。外部の技術者が発注者の補助者として進捗や品質を管理するこの手法を活用し、設計・施工の各段階に外部の専門家を関与させることで、地方自治法に抵触しない範囲での「発注者機能の補完」を図るアウトソーシングの採用について伺います。

CM方式は、設計段階・発注段階・施工段階等において外部の専門的知見を有する技術者の支援を受けることで、品質確保・事業の円滑な推進・業務効率化を図る手法として有効であると認識しております。

一方で、地方自治法においては、契約締結・発注・検査などの発注者としての権限や責任はあくまで自治体自らが担うべきものです。このため、発注者としての意思決定や最終的な責任は自治体が担うことを前提としつつ、設計内容の技術的助言・施工計画の確認・工程管理・品質管理に関する支援など、法に抵触しない範囲での外部専門家の知見活用は有効な手法と考えております。

今後は、国の動向や他自治体の先進事例も参考にしながら、制度面・運用面の整理を行い、技術職員不足への対応と事業執行体制の強化の観点から適切な活用の在り方を検討してまいります。

Comment
片野たいがのまとめ・コメント

令和2年から6年の採用状況を見ると、扶桑町でも他の自治体と同様に技術職の確保は極めて困難な局面を迎えていることが明らかになりました。令和6年度は応募者1名で採用なしという深刻な状況です。

初任給や試験制度の近隣比較から、改善の余地があることも見えてきました。今回提案した「通年募集の実施」「試験内容のさらなる柔軟化」「大学・高校への訪問説明」について前向きに検討していただけるとの答弁をいただきました。ぜひ積極的に進めていただけるようお願いします。

技術職員は、扶桑町のインフラを守り続ける「縁の下の力持ち」です。「選ばれ、育つ職場」への変革と、CM方式の活用による発注者機能の補完を通じて、持続可能な体制づくりを引き続き推進していきます。

Video
議会中継・動画
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